リストリクションなんて、青銅かせいぜい白銀ぐらいにまでしか効かぬ子供騙しと思っていたが。
「カ、カルディア……!」
著しく集中を欠いていたとはいえ、黄金を拘束することさえも可能ではないか。
「カルディア! 何故こん、なッ、」
反論をかさついた唇で塞げば、寝台に沈む身体がもがく。
雪と氷の魔術師にして、知を司る水瓶座の聖闘士。
理知的な面差しを崩さぬデジェルが時折覗かせる猛き戦士の貌こそがカルディアを滾らせると、きっとこの男はゆめゆめ思いはせぬのだろう。
戦場の高揚を隠せぬままに物言わず距離を置こうとするその振る舞いが、恋人の怒りにも似たもどかしさと劣情を煽ってしまうなんて。
*
「んッ、くふ、う……っあ!」
「カル、ディア……!」
デジェルの快いように動こうと思っていても、刺激と快楽を知った身体は無意識に自分が快いように動いてしまう。
屹立を最も弱い勘所を望むままにーー焦らさず、けれど強すぎるということもなくーー擦りつけていたカルディアが、一度目の逐情の後にくたりと身体の力を抜いた。
そのときだった。
「ひ、い……あぁああァッ!?」
美しく白いデジェルの手が、不意に動いて弛緩した身を拘束したのは。
尻を目一杯割り開かれたまま最奥を穿たれて、急速に視界が明滅する。
あっさりと主導権を奪われたカルディアは小さく喉を引き攣らせて叫んだ。
「やッ、やめ、なんでっ……!?」
「……カルディア」
「まっ、デジェ……る、んうぅッ、」
突き上げは止まない。
唇を奪われたまま、感度を磨かれた身体をめちゃくちゃに貪られてみっともなく跳ね回る。
蹂躙者の僅かな震え。
それの意味するところが、同じ男としてわからぬはずもなく。
「ん、むぅ……っん、んぅううぅ……!」
口内に嬌声を吹き込んで、そのまま再びの絶頂に押し上げられる。
尻たぶを掴む掌も、奥に注がれたものも、どうしようもなく熱かった。
初出:2015/12/26(Twitter)